フェーズ別にグラフィックスの上書きができます
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| どういうこと? |
まずはおさらい
2ⅮCADで描画する時に気にかける事のひとつに線分の太さがあると思います。当然Revitでも平面ビューや断面ビューで表示される線の太さはとても重要で、通常はオブジェクトスタイルで設定した線の太さに従って表現されています。
しかしプロジェクトでは、防火区画に関わる壁は赤く色付けしたいなどの、ビューによって表現を変えたいケースがあります。その場合はビュープロパティの「表示/グラフィックスの上書き」で
オブジェクトスタイルの設定を上書いてビュー独自の設定を行います。
ところでオブジェクトスタイルは、要素の持つカテゴリ(含サブカテゴリ)に対して行われる設定です。
具体的には柱カテゴリを切断した時の線分の太さは「3」窓カテゴリは「1」といった感じで、線分の太さは要素のカテゴリにより決定されてます。
さて、カテゴリによって要素の表示が制御されているならばフェーズのグラフィックスによって何が上書きされるんだろう?って思いませんか。。。
グラフィックスの上書き
フェーズのグラフィックスの上書きは「ビューに解体する要素が含まれる時に解体要素だけ着色する」などフェーズの状態別に表示設定ができる機能です。
↑解体する要素って?
フェーズを中心にビューの要素を見ると、要素は既設、解体、新設、仮設に分類できます。通常あまり意識する事はありませんが、要素は必ず4つのうちのいずれかの状態にあります。この分類をフェーズステータスと呼んでいます。
※ステータスには状態という意味があります。
フェーズステータス
フェーズステータスはビューのフェーズを基点に要素がいつ作成されていつ壊されたかを表すものです。そのため同じ要素でもビューのフェーズが何かにより既設、解体、新設、仮設のどれに該当するかが変わってきます。
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| ビューのフェーズ |
- 既設:ビューのフェーズよりも前に作られた要素。
- 解体:ビューのフェーズより前に作られて、ビューのフェーズで壊された要素。
- 新設:ビューのフェーズで作られた要素。
- 仮設:ビューのフェーズで作られて、同じフェーズで壊された要素
線分やパターンの設定
「投影/サーフェス」や「断面」に設定できる線分やパターンはプロジェクトに設定済みの線分やパターンの中から選択できます。
グラフィックスの上書きを反映する
「グラフィックスの上書き」の設定は、それだけではビューに反映できません。
フェーズフィルタで「上書き指定による」を選択して、そのフィルタをビューにあててはじめてビューに「グラフィックスの上書き」の設定が反映されます。
※フェーズフィルタの詳細は別ページを参照してください。
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| フェーズフィルタの設定で「上書き指定による」 |
例えば・・・
フェーズの状態が「新設」でフェーズのグラフィックスの上書きの新設に赤い線分が設定されていたら、カテゴリが柱、壁、床と違っていても全て赤く表示されます。
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↑新設のフェーズの要素を赤線に設定すると
新設のフェーズの要素は赤く描画される↓
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もしも競合したら・・・
ところで同じ要素にカテゴリ別の表示/グラフィックスの上書きの設定が競合する場合はどうなると思いますか???
答えは
フェーズのグラフィックスの上書きが優先されます。
上書き設定の優先度
ビューの描画の優先度はシステムで決められています。
優先順が高いものから順に並べると下記の順になります。
- ラインワーク
- ビューのグラフィックスの上書き「要素別」
- フィルタ
- フェーズのグラフィックスの上書き
- 表示/グラフィックスの上書き「カテゴリ別」
- オブジェクトスタイル
「6.オブジェクトスタイル」よりも「5.ビューの表示/グラフィックスの上書き」の設定が優先され、「5.ビューの表示/グラフィックスの上書き」よりもフェーズの「4.グラフィックスの上書き」の方が優先されます。
おまけ。フェーズステータスの具体例
ここでは地球規模の壮大なプロジェクトを例に解説をします。
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| 古生代、中生代、新生代のフェーズが設定してある事を前提条件に解説。 |
■ビューのフェーズが古生代の場合
珊瑚は古生代からはじまるのでフェーズステータスは「新設」となる。
恐竜と人類は先のフェーズなので表示されない。

■ビューのフェーズが中生代の場合
珊瑚は中世代より前の古生代で作られたので「既設」となる。
恐竜は中世代で生まれて中生代の間にいなくなるので「仮設」となる。
※同じフェーズの中で新設と解体を行っている場合は新設でも解体でもなく「仮設」
■ビューのフェーズが新生代の場合
珊瑚は中生代より前の古生代で作られたので「既設」となる。
人類は新生代で作られたので「新設」となる。
恐竜は前のフェーズで解体されているので認識されない。
Revit2020