モデルが見えない時に確認する箇所で打線組んでみた

モデルが平面ビューで見えない! 3Dビューでは見えるのに 平面ビューで見えない! 表示されないのには訳があります 1 カテゴリのチェックが外れている 2 ビュー範囲から外れている 3 部分切断領域が掛かっている 4 フィルタで非表示にしている 5 ビューで要素を選択して非表示 6 フェーズの違いで非表示 7 他のモデルで隠されている 8 ワークセットで非表示 9   トリミングの範囲外で非表示 補1  断面線の表示 補2 詳細レベルで非表示設定になっている 補3 ラインワーク(線種変更) 補4 ビューの専門分野 補5   デザインオプション 補6   ワークセット 準備体操 ■とりあえず電球をクリックしてもし、リビール側に要素があれば1か5が原因 ■要素がある辺りに部分切断領域があるか確認してください。(リビール側も!)あれば3が原因かも ■トリミングのオンオフもしてみてください。9 上記でだいたい当りをつけてから原因を探ると早くゴールに辿り着けるかもですwww 1 カテゴリのチェックが外れている [表示/グラフィックスの上書き]の[モデルカテゴリ]タブ ※このダイアログがグレーアウトして編集不可の場合は、ビューテンプレート側でコントロールされています。 2 ビュー範囲から外れている 殆んどのモデルはビューの②切断面~③下(④ビューの奥行き)の間にあれば表示される カテゴリにより一部例外もあります ビュー範囲の切断面より上部にある要素でも、カテゴリによっては表示される 表示されるカテゴリ:窓、収納設備、一般モデル Revit HELP↓ 3 部分切断領域が掛かっている 設定したビュー範囲からモデルが外れている 4 フィルタで非表示にしている ビューごとにフィルタの設定ができ、表示のチェックをオフすれば非表示になります 5 ビューで要素を選択して非表示 非表示にする要素を選択して右クリック⇒ビューで非表示⇒要素(カテゴリ) ※ビューテンプレートがあてられている場合はカテゴリは選択できません 非表示の解除の仕方 reveal(リビール)訳は<隠

LOD

Revitのツールの話じゃなくてもっと広いBIMの話です。

コロナでヒマしている間にCGを少し覚えようと思ったのですがCG用語にLODという単語が出てきたらつい脱線して・・・重要な概念なので記事にしてみました。
2020/05/09に書き上げたのですが、もし内容に「現状とちょっと違うよ!」的な部分などありましたらどうかご一報ください('◇')ゞ



長々と書いていますが、ほとんどアメリカの話です。


intoroduction

皆さんご存じのようにBIMモデルは、3次元の形状に性能や価格など様々な情報を盛り込むことができるデジタルモデルです。

https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/know/difference.html


突然ですが質問です

モデルは正確かつ沢山の情報が盛り込まれていれば100点なのでしょうか?







答えはNO!です




設計のフェーズやモデルの利用目的などモデルの置かれた状況によりモデルに求められる情報の密度は変わっていきます。

例えば、設計の初期段階は流動的なので建具に材質や小窓の有無、細かなサイズの調整などの情報を入れ込むことは余計な情報となりかえって邪魔になります。
設計が進むにつれて徐々に材質や形状、性能、配置位置など沢山の確定した情報を盛り込む事が求められるようになります。




施工までの間にモリモリ盛り込んだ情報ですが、建物の維持管理の段階になると詳細にモデリングした形状は不要になります。
モデルに入れ込む情報量はフェーズに応じた対応をしなければなりません。

出典 BIMナビ


ここで再び質問です!

下図のモデルのデータは正しく入力されていますか?






答えは、そんなの知るかよ!です 笑




BIMモデルは様々な状況に応じたデータが作れますが、肝心のモデルの何が正しい状態で、何が仮に置かれている状態なのかを精査することは、とても困難です。

仮に「通り芯は正確に入力されているが、壁厚は正しく入力されていない」といったルールでもモデルをチラ見しただけでは全然分からないと思います。
しかし一度でもモデルに携わってしまったら、そこからは自分もモデル管理者のメンバーとして扱われ、たとえ全く触っていない箇所だとしても「ここなんでこうなってるの?」とあらゆる場面で犯人捜しの容疑者の一人に挙げられてしまいます・・・あるあるじゃないですか?



何が正しいのか分からな~い



LODはモデルに盛り込む情報の量と、情報の質(信頼度)を定義しているので、そこに責任の所在を加えれば前述した質問の内容が管理できます。

あ、でも自動的にどうにかなるものじゃなくて手動です!マンパワーです!!



↓↓ここからようやくLODの解説がはじまります↓↓

LODをざっくり解説



LODは、BIMモデルの入力状態を、部位ごとに6段階ずつに分けて定義したものです。
使い方は、モデルを入力する前にリーダーがスタッフに「じゃ~基本設計の壁のLODは200で入力して」と指示を出し、スタッフはBFLodS(LODの仕様書)を見て指示されたLODの基準に到達するモデルを作成します。スタッフが「壁できました」と言ったらそれは「LOD200に準じた壁ができた」という事を意味する事になります。


【重要】LODはモデルの共通言語の定義


他部署からもらったモデルも「壁のLODは200で入力済です!」と言われたら、BFLodSの壁のLOD200と照らし合わせれば壁の入力の進捗状況や壁に入れ込んだ情報の何が正しくて何が仮のモノなのかが理解できます。

この仕組みはアメリカでは業界標準として使われていますが、日本にはまだ業界標準として使えるLODを定義したものがありません。そのため日本のLODは業界標準ではなく企業がBFLodSを参照して独自にアレンジした方法で利用してるのが現状なようです。(20/05/05)

日本はどうするのかしら



もう少し詳しく解説




唐突ですが、オリンピックの陸上5000mに出場するには一定の基準を満たしていなければなりません。
同様に、壁がLOD350を満たしているという場合には、LOD350で決めている基準を満たしていなければなりません。

基準にするものは①進捗②形状③属性④PMの4つで、これら全てを満たしてはじめてLOD○○が名乗れます。


①~③はLOD(BFLodS)で既に定義されていること。
④は誰が、またはどの部署が入力したか(責任の所在)なので案件ごとに決めること。

詳しくは下記URLの平野陽氏の論文を参照してください。LODについて知るにはすごくお勧めです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/24/56/24_333/_pdf


LODと設計フェーズ

計画、設計、施工、維持管理などの設計のフェーズとモデルのLODは分離して考えます。
なぜならば設計のフェーズで表現したい事は、個々の内容が必ずしも同じLODの状態にならないからです。

例えば、実施設計用のモデリングでは、壁や床は正確なサイズで入力したいので「LOD350」とするが給排水は「LOD200」にして簡素なモデリングに留めるといった事が起こり、モデル内に異なるLODが混在することになります。


LODと設計フェーズの管理

前述したように設計フェーズとモデルのLODの関係は1対1の関係にはなりません。また、誰がそのモデルを入力したのかも確認する術がありません。
そこで管理方法のひとつとして米国建築家協会(AIA)は両者の関係を管理する管理表(モデルエレメントテーブル)を推奨しています。

上記の表はBIM FORUMのパートⅡより原本がDLできます。
参照元:BIM FORUM


上記の表を日本仕様にアレンジしたサンプルをBIMナビのサイトが掲載していました。
参照元:BIMナビ


モデルの詳細度が上がる≠LODが高い1

LODが上がるとモデリングの詳細度も上がる傾向がありますが必ずしもそうとは限りません。例えば、コンポーネントが非常に詳細かつ具体的に作られていても、モデルにはLOD200と記述ができます。
LODは、モデルが詳細でも「設計がまだ流動的な段階で位置や仕様が変更される場合もあるよ」といった図面に対する信頼度の警告にも使えるということです。

モデルの詳細度が上がる≠LODが高い2

LOD500は400迄と少し違う領域です。400までは「作るため」ですが、500は完成したものを「運用、管理、操作」のためのモデルになるので求められるもが違ってきます。

HISTORY

2004年にVico Software社(当時はGraphisoftの一部門)はBIMモデル内の情報管理にMPSという「Level of Detail(詳細レベル)」の定義(最低レベルの形状から完成形までの情報の量を5つのレベルに分けた)を中心としたシステムを導入しました。
2008年には複数の団体が同様のコンセプトを採用しましたが、その中で米国建築家協会(AIA)は内容をBIMプロジェクト全体で利用できる「Level of Development(開発レベル)」へと発展させていました。



※日本語に翻訳すると”開発”となるようですが、開発って言われてもちょっとピンと来ないなと思っていたら「ある進捗状況における部位ごとの確かさ」と訳しているサイトがありました。なるほど💙


LODのD

BIMで「LOD」と言えば「Level of Development」の略語ですが、「Level of Detail」の略語としても使われています。
両者の内容にはハッキリとした違いがありますがLODの黎明期に両者が入り乱れていた関係でLODは「Level of DetailまたはLevel of Developmentの略語です」と併記して紹介される事があります。
現在は、LODと言えばLevel of Developmentを意味する事が主流で、ここでの説明もLevel of Developmentの説明になります。

2014年頃は国によってマチマチ
https://www.bimthinkspace.com/2016/07/the-many-faces-of-lod.html

2つのLODの違い

  • Level of Detailは、モデルの見た目の詳細度を表しています。Revitのツール「簡略、標準、詳細」をイメージしていただけるといいかと思います。

  • Level of Developmentは、モデルの見た目の詳細度だけではなく、メーカーや価格などの説明データを盛り込んだりモデル情報の正確さの保証まで可能にます。
    例)LOD100のドアの位置は正確でない。
      LOD350のドアの位置は正確である。
    ➡LODには位置情報が正確か否かの定義もありますwow


BIM Forum LOD Specification(BFLodS)

米国建築家協会(AIA)により発展したLODの概念を新たに解釈し直し解説したものがBIM Forumの発行するLODでBFLodSと表記されたりします。
BFLodSはLODの国際的な標準となっています。


無料でDLできるので是非一読してみてください。
https://bimforum.agc.org/lod/


LODのレベル別概略

詳細は前述のBFLodSで確認できます!
LOD100 LOD200 LOD300 LOD350 LOD400 LOD500の内容はここでは敢て記述しません。イメージ図で勘弁してください 笑




BFLodSの中

Uniformatで分類された部位を更に6段階に分けたひとつひとつのレベルに対する定義を、文書と二次元や三次元で描かれた具体例で明示してます。



BFLodSとUniformat

BFLodSでLODを定義する時の分類はUniformatにより行われます。Uniformatは建築物を外壁、屋根、床などのように部位別に分類する分類体系なので日本の実情とは合わない部分があり残念です。
アメリカで使うために作られたものなので文句は言えませんが....(>_<)


BIM→LOD→Uniformat→Revit→...どんどん繋がっていく感じがしますが、これはアメリカの話・・くわばらくわばら


業界標準

アメリカではLODは業界標準として整備されているので、データの自己管理だけではなく、LODがある事で同業他職種間での意志の疎通が混乱することなく行えます。

業界標準である事の一例として...
下記は、アメリカのとあるBIMモデル作成会社の申し込みフォームです。「Level of Development」をプルダウンして依頼するBIMモデルのLODのレベルを入力することが必須となっています。


選択項目

BFLodSの仕様をそのまま日本で使えるのかというと少し無理がありそうな気がします。
だからといって今はまだ国や協会がまとめた日本独自のLODの指標もありません。仮に上記のような申し込みフォームをA社とB社で作成して依頼主がLODのレベルを選択した場合にA社、B社、依頼主それぞれの認識の間に差異が生じてしまう可能性があります。(2020/05/05)


異業種とのからみ

アメリカの話シリーズ
米国一般サービス管理局の不動産サービスによる承認済みマトリックス





in Japan

我らが日本も少しづつ前に進んでいます!GO!GO!



BIMガイドライン(国交省が平成30年に策定)
基本設計方針策定時、基本設計図書作成時、実施設計図書作成時という3つに設計フェーズを分け、フェーズごとの詳細度を決めています。
平成30年の改訂により、適用対象が受注者提案だけから発注者指定にまで拡げられました。



調べてみて感じたこと

疑問に思った事をメモしたけど調べきれなかった事です。どなたか教えてください。
日本で使うなら、概念以外は日本仕様へ全とっかえ位のカイゼンが必要かも
求ム!建築界の章夫さん
  • 特記仕様書に記述している部分はどうするのか?
  • 標準仕様書と関連する部分はどうするのか?
  • モデルの情報は管理できるけど、そこから図面として切り出して独立した時(dwgで渡すとか)にもどこかにLOD○○です!的なモノが記載されるのかしら
  • 図面的に見やすいかどうか
  • マスターフォーマットやユニフォーマット的なものもまだ整備されていない日本だと積算につなげるのもちょっと・・
  • CADと連携している部分はどうなるんだろう・・
  • 入れるべき情報かどうかはその時々で違ってしまうんじゃないのかな
  • 特例を作ったら業界標準とならないしなぁ
  • LODチェック自動化できないかな・・結局自己申告じゃん
  • スタッフの指示・・オペさんに依存はマジムリなんで・・笑
  • 日本の住宅の施工者は施工図は書かず図面は設計者が用意するが、ゼネコン案件とかだと設計者が施工図を書かない
  • そもそもアメリカとは業務の領域がかなり違う・・うむ
  • 誰か良いとこどりのシステムを構築してくれないかなぁ(о´∀`о)
生意気なこと言ってすみません。
最底辺からの上から目線・・(*´з`)

参照元

LODに関してGoogle先生に尋ねると様々な先生達を紹介してもらえます 笑
先生方の伝えたいことをどこまで正確に理解できたか分かりませんが、すごく勉強になりました。
ありがとうございました。

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen06_hh_000030.html
日本建設業連合会
https://www.nikkenren.com/kenchiku/bim_lod.html
平野 陽氏
http://www.arch.titech.ac.jp/yasuda/thesis/2016thesis/hirano.pdf
建築BIM推進会議
http://www.mlit.go.jp/common/001341609.pdf
BIM Think Space
https://www.bimthinkspace.com/2016/07/the-many-faces-of-lod.html
CAPA
https://www.capa.co.jp/archives/33005?doing_wp_cron=1588807650.3703889846801757812500
志手一哉氏
http://www.archifuture-web.jp/magazine/441.html
BUILT
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1811/09/news140.html
大塚商会
https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/contents/business-oyakudachi/cad-lecture/2017/201704.html

他多数


おまけ

LOD(Level of Detail)という用語はCGの世界ではとてもメジャーな存在で、視覚距離に応じて細かさの度合いを3~4段階に制御することをいいます。見た目を損なわずに処理を高速化する時などに使うそうです。
例えば、ショッピングモールの外観パースと住宅の屋内パースでは配置した人間の詳細度が変わるので、LODを切り替えて使うようです。


15年目の真実

あまりに衝撃だったので呟かせてください(゚Д゚;)。。
ステイホーム週間で昼間にこの記事を書いていたら、記事を覗いた家族から
「15年位前にLOD(CG関連)についての解説を書いたよ!ドヤッ(-ω-)」と言われました。
私にとっては新しい単語だったのに同じ屋根の下の家族には古臭い単語だったとは・・なんだか敗北感はんぱないです。。。

リンデンドル・・笑

2020/05/09